No/Knows;U

Sfortuna













確かにあの子は、私の後輩だった。
兵助に腕を引かれ、全員が揃っている食堂に連れていかれ、座らされる。



ちゃん、ダメだよ。安易に近づいちゃ……」

「そうよ。アンタがそんなに人助けが好きだとは思ってなかったわ」



という塩梅に、次々と皆の口から私の軽率な行動についての小言が始まったが、私はというと、ほとんど耳に入らなかった。頭の中は空から降ってきた後輩についてばかり考えている。



「ね。あの落ちてきた子、どうなるんだろう」

「……アンタね……。やめなさいよ。そういうのに首突っ込んで、ろくな事ないんだから」



だってやっぱり、気になるじゃないか。絶対に言わないが、知ってる子なのだから。



「……まぁ、全てはあの落ちてきた『天女サマ』とやらが目を覚ましてから、だな。先生方が今学園長の庵で会議されてるそうだ」



鉢屋が渋々といった体で口を開いた。



「最終的に、どうなるかは……。学園で保護するのか、処分するのか……」

「処分……」

「まぁ、すぐにそうなることはないだろう。そうだな、様子見か、監視か、というところだろうな」



そうなるだろうな、と兵助も同意する。



「三郎と兵助の言う通りになるだろ。だからさ、。あまり気にしない方がいい。オレらもだけど、先輩方は皆あの落ちてきた奴を警戒してる。近づかない方がいいぜ」



竹谷が困ったような顔をして忠告をしてくる。結局は皆してそういう方向に落ち着けようとする。そんなに私は危なっかしいだろうか。



「ふみ、!!」



ドタバタと廊下をかける音がして、食堂の入口に顔を出したのは、くのたまの同級生だった。



「あっれー、どしたのそんな急いで」

「くのたま同級生にシナ先生から招集よ。……さっき落ちてきた人が目を覚まして、対応が決まったみたいで……」

「……それで、私達にお呼び出しがかかるの?」



嫌な予感がする。待たせるわけにもいかないので、席を立つ。



、とりあえず先に、ソレ、着替えてよね」



呼びに来た子に注意される。そう言えば、兵助と出かけるための格好をしたままだった。



「あ、うん。……どこ集合?」

「学園長の庵の前」

「了解。じゃ、ふみ、行こうか」

「あー何か厄介事押し付けられそうな気がするーが!」



それに巻き込まれる私カワイソっ、とかいうふみを軽く小突く。



。後で……。ここにいるから、終わったら来て」

「うん、わかった」



皆に手を振って、まずは自分の部屋に向かった。















































学園長の庵の前には、忍たまで言うところの4〜6年生に当たるくのたまが集合していた。集合、と言っても、20人に届くかどうか、と言う程度だけど。
学園長とヘムヘム、そしてその横に山本シナ先生が立っている。そしてその手には何本もの棒が飛び出た箱が鎮座してる。



「君たちに集まってもらったのは他でもない。皆知ってることとは思うが、先刻現れた……」



学園長がごほん、と咳をして、注目を集めた後、話し始めた。学園長が話を切ったところで、後ろの障子が控えめに開いた。そこから現れた姿に、周りの視線が集中した。



「彼女について、君たちから一人、世話役を頼みたいと思ったのじゃ」

「……は、初めまして。飯塚若菜と言います。こことは勝手の違う世界からやってきました」



たくさんの視線に驚いたのか、若干おどおどとした態度である。私の記憶だと、初対面にでもカミングアウトするような子だったんだけど、やっぱりそうはいかないんだろうなぁ。



「……。随分胡散臭い子よね……」



小声でふみが話しかけてくる。まぁ、確かに。いきなり違う世界から来ました、というのは賢い選択とは言えないだろう。けど、やってきた状況じゃあ、仕方ない、か。室町とは随分と様式の違う服装だし。



「私の元いた場所に帰るにはいくつかの条件がありまして……それをクリアしないと帰れないんです」

「彼女がここの生活に慣れるまで、手助けしてやってほしい」



その後、滔々と飯塚若菜ちゃんについて学園長からの話は続いていく。要約すれば、彼女を学園で保護するということ・彼女はくのたま長屋で寝起きするということ。滞在中は学園内で軽い雑用をするということ。概ねそんな感じだった。



「では、学園長先生。どのように私たちの中から選ぶのでしょうか」

「うむ。その方法じゃが……」



くのたまの先輩が手を挙げて質問する。それに、学園長が頷いて、シナ先生の持っている箱を指さした。



「山本シナ先生の持っているくじを各々引いてほしい。一本だけ赤い印をつけてある。それを引いた者に頼むことにする」



では、引いてくれ、と言われ、全員それぞれ一本ずつ手に取る。



「……正直、嫌な予感しかしないんだよね……」

……。実は私もなのよ」



巻き込まれそうで、とふみは疲れた顔で呟いた。



「いっせーの、でっ!!」



シナ先生の掛け声に合わせて、一斉に棒を引く。
自分の引いた棒を凝視する。ぽん、と次々にくのたまの同級生たちが肩を叩いていく。ふみはため息をついた。




先が赤い。










                              To be continued......





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久々知の影が薄い……。
そう言えば、言ってなかったですが、今回には特に『feat.〜』は書いてないです。前回ので反省しました。あれは自分の首を占めるだけでした。自分が出来ることだけをきちんとやろうと思います。
↑ とは言ったけれど、自分のために書く事にしました。『feat.〜』は前回同様です。よければどうぞ。2012/12/30追加。








                            2011/09/11