お仕事頑張ってます
秀徳まじヤベェ。満場一致で可決だわ、これ。
姉さん曰く、「外はもはや弱点どころか中よりも脅威の得点源になってる…! 去年までが可愛く見えてきちゃうわね!」だそうだ。
ビデオカメラのスイッチを切って、席を立つ。じゃー帰るかーなんて言っている冗談を姉さんがはっ倒していた。
「え? マジ!?」
「やっぱバカか! バカガミか!! ちゃんと表見とけ!」
ふぅ、と一息ついて、姉さんは呼吸を落ち着かせる。
「予選4回戦と最終日は二試合ずつやるのよ。17時から5回戦よ!」
このために私は今日、同じ会場に来ているのだ。
「でも改めて考えると、一日二試合ってムチャだよな。時間空くっても疲れは残るし」
「でも私個人の考えとしては、今日よりかは最終日の方がムチャだと思ってますけどね」
「え?」
「準決勝・決勝も一日でやんのか……ん? てことは秀徳の前に一試合やんのか?」
最終日のことに思いを馳せていれば、火神君にトーナメント表を要求され、渡す。私の所有しているものには、勝ち進んでいるところに蛍光ペンで線を引いてある。それを見て、火神君はようやくある事に気付いたようで、
「センパイ…三大王者って秀徳とあと…」
「正邦と泉真館!」
「……これって…」
まさかの事態発生www 先輩たちも気づいてなかったっぽい。
「ちょっと…二年生も気づいてなかったの!?」
「いや…いつも違うブロックだから目に入ってなかったわ…」
私は、知ってるということも踏まえ、日程が出たときに、姉さんと二人で「死ぬかも」と顔を見合わせ、体力強化メニュー考案へより強く気持ちが入った。
「最終日はおそらく、準決勝は正邦! 決勝は秀徳! 北と東の王者二連戦なのよ!」
「超頑張ってください!」
ぐ、と拳を握れば、いやいやいや、と腰の引けたか細いツッコミが聞こえた。多分降旗君だ。
「マッジッかよ!?」
「いやー、逆に良かったですね? キッツイとこまとめてきてくれるんですし、地獄は一日だけで済みますよ」
「いやいや何言ってんの。これ、そういう次元じゃなくね?」
「逆境に強く生きていこう」
「いやいやいや!!」
降旗君や河原君はもはや臆病ツッコミマシーンと化している。そんな中、火神君はその状況を願ったり叶ったりだといい、それに黒子君が同調する。
「すいません。ボクもちょっとワクワクしちゃってるんですけど…」
「はぁ!? 何、オマエも火神菌伝染ったの!?」
「なんだよ火神菌って!?」
「それは嫌です」
「なんか否定の仕方もムカつくぞ黒子テメー」
「でも
そうですよね、さん。と同意を求められ、とりあえず深く頷き、親指をびし、っと立てといた。
「いいこと言ーじゃん。好きよーそーゆーの!! けどその前に5回戦あんだからね! もう一度気を引き締め直して絶対勝つわよ!」
「じゃあそういうわけなんで、お昼食べましょう。ささやかですが、おにぎり持ってきたんで」
同じ会場で、きちんと側でマネジメントできるのだ。まぁ安直に差し入れしか思いつかなかったわけだが。普段の部活でも差し入れなんか持ってきていない。今日はまぁ私は公式戦初めてだし、ということで、だ。
「マネージャーの差し入れ」というものに夢を見ていたらしい一部の部員はお喜びのようで何よりである。2年生には、リコ姉さんに聞こえないように、「私一人で作り、リコ姉さんには触れさせてもいません」と言った。するとみんな涙ながらに親指を立て、「グッジョブ」である。何だか私も泣けてきた。
その後の5回戦、全員に疲れは出ていたし、途中伊月先輩が足をつるなどもあったが、無事勝利。準決勝進出が決定した。
2013/10/22 up...