イジメ・カッコワルイ
原作では、アカデミーでサスケが相当モテていたが、イタチも相当モテている。
サスケみたいにクールで、ではなく、同年代の男子と比べるとイタチは大人で紳士的だから、だ。しかも飛び抜けて。
5歳とか6歳とかの子供が集まる中で、イタチの存在ってのはそりゃもう凄い。
やんちゃでわんぱく盛りの男子の中で、そりゃもう浮く浮く。女子の熱視線独り占めは決定だ。
けど、それってどうでもよくね?
って言いたい気持ちはわかる。イタチがモテるとか、お前に関係ないじゃん。そりゃそうだ。そうだよ。そのはずなんだよ。でもそうはいかないんだよこの世界。神様ってのはいじわるだからさ。
「ちゃんってイタチ君と付き合ってるの?」
壁を背に、目の前には女の子のグループが立ってる。5人。1対5って中々だよ、うん。
そしてこの光景も体験するのももう数えるのも億劫なくらいだ。
大体、6歳のガキが付き合うどうこうって早すぎんだろ。全く、皆さん早熟なんだからぁ……。
このままなぁなぁにするのもいいが、あんまり時間かけてられない。何故なら、
「、探したぞ」
こうしてイタチが来てしまうからだ。
イタチが来ると、女の子たちはそそくさといなくなってしまう。どこかやましいことがあるからだろう。
逃げられてしまうと、女の子達に否定することができなくなってしまうからやめてほしいのだけど、言う前にイタチがやってきてしまう。結果女の子たちの勘違いは深まっていく。……完全に悪循環だ。
「図書室にいるかと思って行ったんだが、いなかったから。結構探した」
「……あー、何か用あった?」
反応が冷たくなるのも致し方ないだろう。いや、仕方ないよね?
「お昼の時間だろう?」
困ったちゃんを見るような目で見られたぞ、おい。
ほら、と渡されたのはお弁当。またイタチのお母さんが作ってくださったんだろう、私の分まで。今度またお礼をしに伺った方がいいだろうな……。
「どうも……」
前に一度、買ってきたパンを食べてるところを見られて以来、イタチは私の分までお弁当を持ってきては一緒に食べるようになった。
お弁当くらい作れるけど、面倒だし。別に購買のパンでいいんだけど、イタチに言わせれば栄養がどうこう……とか。うちは家に連れて行かれて晩御飯をいただくこともしばしば。
何かイタチのお父さんお母さんにはイタチの嫁って認識されてるし。違います本当に違います嫁じゃないですマジでやめてそういう死亡フラグ。あくまで私とイタチは友人なんです多分! ……イタチは一体家で私のことなんて言ってるんだろう。絶対聞かないけど。藪蛇の気がするもんな。こういう勘には従っておくのが吉だよ。
「さっきの授業、寝てただろう」
「え、あぁ、うん……。昨日夜更かししちゃって、眠かったから」
「また本を読んでいたんだろう?」
「うん。どうしても途中でやめれなくて」
「……全く、は仕方ないな」
そう言ってトン、と私の額を小突いた。……私はサスケくんじゃないんですが。弟と同じ扱いですか。え、そんな下に見られてんの。
小突かれたとこを撫でながらイタチを睨めば、イタチは微笑んでいた。
「……痛い」
「悪かったよ、。だからそんな恨みがましい目で見ないでくれ」
明らかにポーズだけど、機嫌を取るかのように小突いたとこを指でなでてくる。
……あのさぁ、こういうスキンシップがいけないと思うんだよね。
失礼にならないように気を使って頭を振って手を払う。
「……イタチは将来、背中から刺されるといいよ。女の人に」
「いきなりどうしたんだ」
「でもイタチは躱しちゃうね。じゃあダメか」
「?」
「イタチに好かれる女の子が可哀想だな、と思って」
「……なぜ」
「いやぁ、それはご自分で正解にたどり着いて欲しいね。幸せだろうけど、苦労もするだろうねぇ」
だって付き合ってるわけでもない、ただの友人である私でさえ面倒なことに付き合わされてるわけだし。ホント、女の子のグループって面倒くさいんだから。並の女の子じゃあ、苛められておしまいだよね。
「それこそ、ずっと傍について離れない、くらいじゃないと」
うんうん、これだな、と自分で出した答えに納得して頷く。
ぽん、とイタチの肩を叩いた。イタチと目が合う。
「イタチ。モテるって大変だね。超ガンバっ!」
ぐ、っとガッツポーズ付きでウインクしてみせる。
イタチはぱちぱちと瞬きして、それから何事かを考え込んでいるようだった。
それを横目に頂いたお弁当を広げる。今日も非常に美味しそうなおかずだ。
to be continued......
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久しぶりに書いた。
けどやっぱり書いてる内に目指すものと違ってくる現象が。この現象、なんて言うんだろ。
2014/06/18