クラウチングスタート















何故こんなことになっているのか説明が欲しい。何なんだここは。窓から見える風景に全く見覚えがない、ような気がする。やーでも何か思い当たるものがあるような……デジャブが……。



ちゃんよかった、目が覚めたのね!!」



真っ白い部屋の真っ白いドアを開けて入ってきた真っ白な服を着たおねーさんが明るい笑顔を振りまいてくださった。あぁ、ここは病院なのか。なんで病院なんかに。



「大丈夫? 3週間も眠ったままで……」



看護婦さんはそれから、どうやら今の私の状態について長々と語ってくれた。結論。ここは私のいた日本じゃないということ・私は20歳じゃないということ。ちくしょう。ようやく堂々と酒を飲めると思ってたのに……。半分以下の年齢って。現在私は5歳らしい。ふざけんなって。親は既に無く、アカデミーとやらへの入学が決まっている……というかしてるらしい。一度も行けてないが。なにしろ入学式の時は絶賛ベッドの上でお休み中だったからだ。だからこれから3週間遅れて通うことになってるらしい。いやいやふざけんな?





で、学校。


「えー、諸事情により皆より通うのが遅れてしまったが、皆仲良くするようにー」



顔が引きつっている自覚がある。まさか、20歳の私に5歳のお子ちゃまの中に混ざって仲良く勉強しろと? いやいやマジふざけんな?



「……よろしくお願いします」



間違っても口にしないけど。自慢じゃないが賢い自信はあるんだ。良くて精神病院、悪くて間者扱い。そんなのはすぐに学んだ。幸い、このアカデミーとやらは飛級制度があるようなので、卑怯とは思うが体は子供・頭脳は大人っていうチートを生かさせてもらおう。

って思ってたのに、この学校。忍者の学校なんだもんね。私には致命的な問題があって、それはチャクラが絶望的に少ない、ということだった。もう、先生に哀れみの目で見られるくらい。理論系はめちゃくちゃ出来る子なんだけどね……。それだけじゃダメなんだろうか……。


さて、話は変わるが、初めてこの学校にやってきて紹介されたとき、私の世話を任された子がいた。名を、うちはイタチと言う。はい、皆さん。お分かりですか? そうですねー、あの・イタチさんです。どうやら私、NARUTOのしかも原作始まりの前にやってきたらしいのです。もうヤダ。こんな死亡フラグが立ちやすい世界。
お世話を任されたうちはイタチ(先生の余計な計らいにより隣に座らされた)は、無表情に校内の案内をしてくださってる。本気でヤダ。だってこの人将来、事情はあれど、大量殺人するんだもん。パンピーには怖くて無理です。けど、仮にも20歳が5歳にビビるとか出来ないし、いや私も今見た目5歳だけど、だから何でもないですよーって顔をする。でもやっぱりおっかないので、早期解放を願うばかりだ。



「えーと、図書室とか、そういう使いそうな場所だけでいい……です」

「……そうか……?」



校内全てを案内してくれようとする親切なうちはイタチを止める。低姿勢なのは仕様だ。
ていうか、5歳のイタチならまだ全然大丈夫じゃない? 13歳くらいだったよね事件起こすの。じゃー8念は大丈夫的な……? いやいや油断大敵。関わらないのが一番いいんだって!!



「……は図書室に行くのか?」

「……行くけ……行きますけど……?」



イタチは不思議そうな顔して私を見る。あぁ、そうか。私5歳だもんな。みんなお外で遊んだりするのか? 本読まないよね、そうですよね。でも私中身チートで20歳だからみんなで仲良く隠れんぼとか出来ません。



「……私、本読むのが好きなんです」



だから私、図書室に引き篭ろうと思って、と冗談ぽく言ってみる。ユ、ユーモアは大事だからね!
そう言えば、5歳だと言うのに大人びているイタチは微笑ましい笑顔で「そうか」と言った。

その後、同い年なのだから敬語はいらないとかもっと気安く接するようにとか何だか言われた。大丈夫。友人認定されたわけではない。はず。そんなの怖すぎるだろ。
けれど、間違いなくこの時からイタチとの交流は始まったのだし、何故か私はクラスで浮いた存在となってしまい、必然とイタチといる時間が多くなってしまう。







                            to be continued......





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始まりの物語です。
かなり弄れてます。可愛くない。可愛くない……。





                                 2013/09/01