子守唄-lullaby-






一緒に暮らしている恋人と、仕事のシフト上中々休みが被らないのは多々あることでケイトも彼女もそれを寂しいと思う時はあれど、特段国思っていたりはしなかった。その分被った時はそれまでの寂しさを埋めるように一日中ずっと一緒に過ごすのが定番だった。
その日はケイトが休みで、彼女は朝から仕事だった。仕事に出勤する彼女を見送り、二人分の食器を洗ったケイトは昼食と夕食分の買い出しに出る。片方が休みの時は、休みの人がご飯を作る、というのが自然に出来たルールだった。自分は辛い物が好きだけど、あまり辛くしすぎると彼女が怒るので(怒る彼女も可愛らしいけど)、辛さを控えめにしないといけない。結局辛い系の料理をしてしまうのは、自分の好みもあるが、彼女が自分の料理を褒めてくれたのが辛い料理だったというのもある。
一人で取る昼食を終えて、一人分の食器を洗い終える。日課ともいえるマジカメチェックをしているうちに、温かい日差しが自身を包み込むので、誘惑に分けて目を閉じた。
多分夢を見ていたと思う。泡沫の夢を晴らすかのような柔らかい声が聞こえた。何度も聞いた愛しい彼女の声だとすぐに分かった。髪をゆっくり撫でられている。

「けーくん起きて。もう夜だよ」
「……えっ! うわゴメン!! 晩ご飯用意してない!」
「ふふ、いいよ。せっかくだし、けーくんにレシピのご教授をお願いしようかな」

冷蔵庫に用意された食材を見ているのだろう。おおよその予想はついているはずだ。

「……オッケーまかせて。おいしいチーズタッカルビ、伝授しちゃうよ」

夢の中でも彼女は笑っていたけど、やっぱり目の前の彼女が笑っているのが一番幸せかな、とケイトは目覚める度に思うのだ。