まるで愛情の様じゃないか!
強いてきっかけを上げるとすれば、お母さんに煮え湯を浴びせられたこと、だろうか。
その前まで、あんなに優しかった母が「醜い」とあんなに苦しげな顔をした。疎ましい、と言われているような衝撃。ただあの時は熱さと痛みでそれ以外考えられなかったけれど、家に戻ってきてからと会って、ふと思ったのだ。
いつか、も俺から離れていってしまうのではないか。
漠然とした不安に襲われるようになった。
一つ勘違いしてほしくないのは、これはただきっかけでしかないのであって、きっと俺は、この事がなかったとしてもに執着していただろう、と思っている。ただ、よりその時期が早くならざるを得なかった。それだけのことだ。
は火傷を負って戻ってきた俺に対して、何も言わなかった。怪我自体の心配はしてくれたけれど、例えばどうして怪我を負ったのかとか、お母さんがなぜ帰ってこないのかとか、そう言ったことは一切聞いてこなかったし、興味を持ってすらいなかったと思う。幼心に、俺に興味ないのか、と落ち込んだ記憶もある。それからは一生懸命、に捨てられない様に、と尽くした。いや、今も尽くしている。
と俺に、もちろん血の繋がりはない。だからこそ将来的に一番近い所にいられるけれど、もし何か決別することにでもなれば、繋ぎとめるものがないとも言える。それが酷く恐ろしい。
⇔
『いつ好きだって思ったんだ?』
最初はとりとめもない話をしていたと思う。その内にクラスの女子がどうとかB組がどうとかの話に変わっていったけど、そこにの名前が出てこない内はいいか、と聞き流していた。そんな中、ふと思いついたように問いかけられた。
さて、を好きというと、間違いではないが、しっくりこない。何故なら俺は、に依存しているからだ。だからそのきっかけか、と思って考えてみたが、内容はどうにも今この場で話すには向いていないように感じる。
「さぁ……いつからだろうな」
とりあえず惚けてみれば、ブーイングが飛んだ。
とは言っても、そぐわないという理由から、ぺらぺらと本当のことを話すつもりもないし、もし話したことをに知られたら、本気で逃げられるかもしれない。逃げられたら困る。
「幼馴染なんだ。いつの間にか好きになっていた、なんて珍しくもないだろ」
そう言えば視界の端でこのクラスのもう一組の幼馴染組の一人が顔を顰めるのが見えた。そういえば緑谷と爆豪は仲が良くないんだったな。
俺なんて、と幼馴染になれなければ関わることもなかっただろうに。あぁ、そう思うとやっぱり恐ろしい。
END
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林間合宿中の男子トーク。
まぁ、枕投げしてたみたいですけど、高校生だし、こんな話をする機会もあるだろうな、と。
本編では女子トークを書く予定ですし。
大体他のサイトさんの轟君は天然で恋愛感情とかに鈍いイメージですけど、ウチの轟君は早々に恋愛感情を自覚してるので、惚けたふりして、みたいな策士ともまた違うけど。
依存しているけど、別にヤンデレではない感じを醸し出せてればいいな、と思います。
リクエストありがとうございました。
2018/02/15